技能実習「漁業関係」受入に必要な準備・手続き・注意点
本記事では技能実習「漁業関係職種」受入に必要な準備・手続き・注意点を解説いたします。
※ 本記事は『技能実習運用要領(出入国在留管理庁・厚生労働省)』 を参考に作成しております。
技能実習「漁業関係職種」とは
外国人技能実習制度は、開発途上地域から来日した実習生に日本の技能・技術・知識を移転することを目的としています。
外国人に技術を移転することを目的としているので、技能実習生受け入れ前に「どのような技術を、どのようなスケジュールで移転するのか」「技能実習生がが技術を習得したことをどのように確認するのか」などの計画を立てる必要があります。
技能実習制度の詳細についてはこちらの記事をご覧ください。
技能実習「漁業関係職種」で受け入れ、技能実習生として2年以上就労させることができるのはこちらの職種(作業)です。
職種名 | 作業名 |
漁船漁業 | ・かつお一本釣り漁業 ・延縄漁業 ・いか釣り漁業 ・まき網漁業 ・ひき網漁業 ・刺し網漁業 ・定置網漁業 ・かに・えびかご漁業 ・棒受網漁業 |
養殖業 | ・ほたてがい・まがき養殖作業 |
※ 作業名をクリックすると、当該作業で従事可能な具体的な業務が閲覧できます。
技能実習「漁業関係職種」受け入れの流れ
技能実習「漁業関係職種」受け入れ時の流れは下図のようになっています。
① 監理団体(組合)へ加入
② 技能実習生の募集・採用
③技能実習計画の作成
④実習実施者届出の提出
⑤ 技能実習生受入の準備
⑥ 技能実習生の入国、就労開始
⑦ 技能実習の指導、日誌の記入
⑧ 監理団体(組合)の監査への協力
⑨ 技能検定の受験
参考:「漁業技能実習事業協議会」水産庁
① 監理団体(組合)へ加入
技能実習生を受け入れるために、監理団体(組合) へ加入していただきます。
弊社にご相談いただいた場合、優良な監理団体に認められている日越振興協同組合への加入が可能です。
※ 監理団体(組合) へ加入しない場合、「企業単独型技能実習」の実施が可能です。
「企業単独型技能実習」では、受け入れ・入国手続き等を会社様で行うことになります。
② 技能実習生の募集・採用
監理団体(組合)が現地送り出し機関を通じて候補者の募集を行います。
候補者が揃いましたら、現地又はオンラインで面接を行い、採用者を決定していただきます。
現地面接の際は、監理団体(組合)のスタッフが同行・ご案内致します。
採用者は日本入国までの期間、入国前日本語講習を受講し必要最低限の日本語能力獲得を目指します。
3ヶ月〜6ヶ月程度の期間学習し、日本語能力N5~N4レベルで入国する場合が多いです。
③ 技能実習計画の作成
技能実習生の受け入れが決まったら、「技能実習計画」を作成します。
どのような技術移転を目標として、どのようなスケジュールで、誰の指導の下実習を行うのか等詳細に記載する必要があります。
その他、技能実習責任者、技能実習指導員、生活指導員の選定が必要です。
技能実習計画の作成は、監理団体(組合) がサポート致します。
技能実習計画は作成後外国人技能実習機構(OTIT)へ提出します。
審査され内容に問題がなければ、認定通知書が交付されます。
④ 実習実施者届出の提出
技能実習計画が認定された後、「実習実施者届出書」を提出します。
こちらも提出先は外国人技能実習機構(OTIT) です。
⑤ 技能実習生受入の準備
技能実習生が技能実習開始後に住むための場所、備品、生活必需品等の準備をする必要があります。
住居については、以下のような要件を満たしている必要があります。
・個別の寝室 (4.5㎡以上)を確保していること
・危険な場所、騒音や振動が著しい場所等の危険な場所ではないこと
・2階以上の場合、2ヶ所以上に非常階段があること
・消化器を設置していること
・就眠時間が異なる実習生がいる場合は、寝室を別に確保すること
・食堂や炊事場を衛生的に保つこと
・トイレ、洗面所、洗濯所、浴場を設置すること... etc
生活にか係る備品は
自転車、家具、Wifi、寝具、照明器具、冷暖房器具、カーテン、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、炊飯器、調理器具、食器類、掃除道具、消化器、その他当面の間の消耗品...etc
このようなものがあります。
毎月の家賃、Wifiの通信費、水道光熱費は実費を徴収することが可能です。
⑥ 技能実習生の入国、就労開始
技能実習生は入国直後の1ヶ月~2ヶ月間、入国後日本語講習を受講する必要があります。
※ この期間はまだ就労させることができませんのでご注意ください。
また、技能実習生は入国後講習中就労することができませんので、実習実施者(受け入れ企業) 又は監理団体(組合) が手当を支給する必要があります。
入国後講習修了後、実習実施者(受け入れ企業) にて就労を開始します。
技能実習計画に沿った技能実習を行ってください。
⑦ 技能実習の指導、日誌の記入
技能実習生の就労が開始した後は、技能実習計画に沿った技能実習の指導、認定計画の履行状況に係る管理簿・技能実習日誌の記入が必要です。
この他にも、
・技能実習生の管理簿
・技能実習生の履歴書
・雇用契約書及び雇用条件書
・技能実習生の待遇にかかる記載のある書類
このような書類を備え付けておくことが必要になります。
⑧ 監理団体(組合)の監査への協力
監理団体(組合) は、実習実施者(受け入れ企業)が適切に技能実習を行なっているか定期的に訪問し、監査します。
監査の際、備え付け書類の確認や技能実習日誌の内容確認、実地にて技能実習の確認、技能実習生との面談等を行いますので、ご協力をお願い致します。
当然のことながら、技能実習生も日本人と同様に労働に関する法令の適用を受け、保護されています。
労働基準関係法令、技能実習法令、男女雇用機会均等法など、法令を遵守した技能実習の実施をお願い致します。
⑨ 技能検定の受験
技能実習は、技能検定/技能実習評価試験の合格を目標としています。
漁業関係職種では、入国後1年以内に漁業技能評価試験(初級) の受験が必須となっています。
技能実習2号への移行をする場合は、学科・実技の両方に合格が必要です。
職種名 | 試験概要 | 学科試験問題 | 実技試験問題 | 学習用テキスト |
漁船漁業 | 漁業関係試験概要 | 公表用過去問題 | 公表用過去問題 | 公表用技能実習学習用教材 |
養殖業 | 漁業関係試験概要 | 公表用過去問題 | 公表用過去問題 | 公表用技能実習学習用教材 |
技能実習2号修了前には、漁業技能評価試験(専門級)
技能実習3号修了前には、漁業技能評価試験(上級) の受験が必要です。
技能実習2号から3号へ移行するためには漁業技能評価試験(専門級) 実技試験の合格が必須です。
技能実習「漁業関係職種」の受け入れ要件
技能実習「漁業関係職種」の外国人人材を受け入れる事業所は、下記の要件を満たしている必要があります。
① 実習実施者(受け入れ企業)について
・技能実習生やその家族に対し、違約金等の徴収をしていないこと。
・技能実習責任者、技能実習指導員、生活指導員を選任すること。
・監理団体による実習監理を受けること。
・技能実習生に対し、日本人と同等の報酬を支払うこと。
・技能実習生の労働時間、休日、休憩その他の待遇について、
漁船漁業に係る事業協議会において協議が調った措置を講じていること。
・4年以上受け入れる場合は、優良要件に適合すること。
・技能実習生の受け入れ可能人数枠を超えないこと。
② 技能実習の内容について
・技能実習生の母国での習得が困難な技術であること。
・単純作業ではないこと。
・実習実施者(受け入れ企業) で通常に行われている業務であること。
・2年以上受け入れる場合は、移行対象職種・作業に該当すること。
③ 監理団体について
・漁船漁業職種・作業に係る団体監理型技能実習を実習監理する監理団体は、海上で長期間行われる等の漁船漁業職種・作業の特殊性に鑑み、監理事業を適切に行うことができるよう、当該作業に精通した漁業協同組合であることが必要です。
参考:「特定の職種及び作業に係る技能実習制度運用要領 -漁船漁業職種及び養殖業職種に属する作業の基準について」
技能実習「漁業関係職種」受け入れの注意点
技能実習制度では、技能実習生の受け入れ可能な期間や人数が定められています。
① 技能実習の期間
技能実習生は最大5年間日本で実習をすることができますが、
1号 → 2号 → 3号 へと在留資格を変更するために要件をクリアしなければなりません。
在留資格(ビザ) | 在留期間 | 目標 | 移行の要件 |
技能実習1号 | 1年間 | 技能の習得 | - |
技能実習2号 | 2年間 | 技能の習熟 | ① 移行対象職種・作業に該当 ② 技能検定(初級レベル)に合格 |
技能実習3号 | 2年間 | 技能の熟達 | ① 移行対象職種・作業に該当 ② 技能検定(専門級レベル)に合格 ③ 実習実施者が優良要件に適合 |
技能実習1号から2号へ、2号から3号へ移行する際は
それぞれの段階に応じた技能検定の受験と合格が必要です。
加えて、1号から2号へ移行するためには、技能実習生の従事する作業内容が「移行対象職種・作業」に該当している必要があります。
2号から3号へ移行するためには、実習実施者と監理団体が優良要件に適合している必要があります。
② 受け入れ可能な人数枠
技能実習生の受け入れ人数には制限があります。
受け入れ可能な人数枠は、受け入れ方式や技能実習の段階、実習実施者の状況等によって異なります。
通常、技能実習1号の受け入れは下記の【基本人数枠】が適用されます。
【基本人数枠】
実習実施者の常勤職員の総数 (技能実習生を除く) | 技能実習生の受け入れ可能な人数枠 |
30人以下 | 3人 |
31人〜40人 | 4人 |
41人〜50人 | 5人 |
51人〜100人 | 6人 |
101人〜200人 | 10人 |
201人〜300人 | 15人 |
301人〜 | 常勤職員総数の 1/20 |
技能実習2号の受け入れの際は、基本人数枠の2倍の人数が受け入れ可能です。
さらに、実習実施者が優良要件に適合している場合、さらに多くの人数を受け入れることができます。
③ 漁船との通信手段
技能実習生が乗り組む漁船と監理団体との間で無線その他の通信手段が確保されていること。
※ 企業単独型技能実習の場合、技能実習生が乗り組む漁船と漁船に乗り込んでいない実習実施者の職員等との間で無線その他の通信手段が確保されていること。
技能実習「漁業関係職種」の必要書類
最後に、技能実習生を受け入れる際に提出が必要な書類と提出先についてご説明します。
① 技能実習計画
技能実習「漁業関係職種」を受け入れる際に外国人技能実習機構へ提出する書類の一覧です。
② 在留資格認定証明書交付申請
技能実習「漁業関係職種」を受け入れる際に出入国在留管理庁へ提出する書類の一覧です。
外国人人材の受け入れに関心のある方はお気軽にお問い合わせください。
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